ディミトリス・パパイオアヌー『TRANSVERSE ORIENTATION』

2019年6月の『THE GREAT TAMER』以来のパパイオアヌー作品。
Transverse Orientation』とは、蛾などの昆虫が、月などの遠方の光源に対して一定の角度を保ちながら飛ぶ感覚反応のことで、光源が近距離の人工の光となると、飛翔方向の角度が変化してしまうことから、人が自らの人生で自分自身の方向性を見い出すという問題を扱うこの作品のタイトルになったという。
海から陸に上がって、人工の光とともに生きる人類。その身体に眠る記憶と未来が、約100分の公演の中に凝縮されていた。あまりに美しさの際立つ舞台なので真剣に見てしまうけど、あれ、ここ笑うところではと我に返らせるようなユーモアもある。今回は前方の席で見られたので(次回は舞台上の面が見渡せる席がいいけれど)、舞台美術特有のハリボテ感のあるモノの、日常のものでもなくオブジェともちがう、不思議に昇華された有様をじっくり見ることができた。
これほどの抽象化されたテーマに私などはたじろがないわけではないけれど、彼にしか作り出せない世界があるという確信が、次の舞台へも足を運ばせるのだと思う。

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