鑑賞ゲリラ、月刊ギャラリー

個展も残り2週となりました。18日15:00から会場で対話型鑑賞会の集まりがあるとのこと。あいちトリエンナーレなどで愛知のラーニングプログラムにはたびたび感銘を受けてきたのですが、芸術祭の時に限らず市民の方がこのような試みがなされているのですね。選んでいただけて光栄です。ご興味ある方はぜひご参加ください→https://www.facebook.com/artguerri

また、3月1日発売の月刊ギャラリー2023 vol.3内の「展覧会とアーティスト」で、個展の概要をご紹介いただきました。こちらもぜひご覧ください。

OutermostNAGOYA

名古屋のカルチャーウェブサイトであるOutermostNAGOYAで、個展「everyone and one」についての記事が公開されています。ぜひ読んでみてください!
このウェブサイト、少し覗くとわかりますが、「名古屋圏の愛知、三重、岐阜3県を中心に、静岡、長野、滋賀、北陸などの美術、工芸、演劇、ダンス、映画・映像などのレビュー、ニュース、リポート」がきめこまやかに紹介されており、とても読み応えがあります。地域に根ざしつつ、広い視野を感じる点でなんとなく批評誌のREARを思い出していたところ、サイトの執筆者の井上昇治さんは、まさにREARの立ち上げに関わられた方とのことでした。
とても丁寧に取材していただいて、この2年ほどで自分の中にどのような動機が熱を持ち続けたかを改めてかみしめました。ある意味では怒り続けていて、その怒りで壊れないための健やかさも育ててきて、展示もそれを反映したものになっていると感じます。インスタレーション作品なので今月末には消えてしまうわけですが、できるだけいろいろな方の体を通して経験されることを願うばかりです。
3/18,21のパフォーマンスの準備をすすめていてご覧いただきたい一方で、当日は空間も人の流れも変わるので、インスタレーションだけの状態の日に見ていただけるのもとても嬉しいです。

ギャラリーのウェブサイトで、個展についてのステートメントが公開されました。ちょっといつもと違う書き方になっています。お時間のあるときにのぞいてみてください。

個展のご案内


今月末から個展です。
2018年から断続的に世界人権宣言をモチーフにした作品を作っています。今回はそのシリーズの最新作を。
もう少ししたら詳細をお知らせします。

大和由佳 個展「 everyone and one 」

場所:ギャラリーHAM http://www.g-ham.com
愛知県名古屋市千種区内山2-8-22

会期:2月25日(土)- 3月25日(土)
13:00 – 18:00
日・月休廊
3月21日(火・祝)は開廊

ご来廊の際には事前に電話かメールにてご予約をお願い致します。
但し、土曜日についてはご予約不要です。 →土曜日と3月21日[火・祝]に限り、予約なしでご自由にご来廊いただけます。
tel. 052-731-9287
info@g-ham.com


「一つの卵による解体と分散のためのパフォーマンス(仮)」
展示中のインスタレーション作品を、一つの卵の割れをきっかけとした行為の場とします。
・3月18日(土)    17:00 –
・3月21日(火・祝)  17:00 –


水位が たしかに 私の体にまで

原爆の図丸木美術館の母袋俊也「魂-身体そして光」展の最終日に。
絵画の形式と主題がこんな形で結晶化するのかと。自分にとって大切なものを見ることができた。
建物の外の地形と結びついたインスタレーションは、府中市美術館の「池内晶子 あるいは、地のちからをあつめて」展を、美術館そのものとその周辺に満ちた空気は「群馬のあかつきの村」で過ごした特別な時間を思い出させた。
どういう立場で思うのかわからないけれど、どうか私を含めて作り手は、自分の課題を簡単に誰かに名付けられたり、分類されたり、理解されたりせずに、自分が気づいた時には意識にあり、以来手放すことができないというそのことをひたすらに探究していってほしいと思う。それはある時点や地点では、時代に求められていないものやありふれたものに見えることもあるけれど、自分の生とそれとが関係づいた理由には、必ずなにかオリジナルで他者への贈り物となりうるものが潜んでいる。それに形を与える過程では、社会や歴史、他者とのかかわりは不可欠だけれど、それをできる心身をもつのも自分だけなのだから。

作り手としてはそんなことを思ったが、なによりも人としてこの場所で思ったことは。あまりこんな書き方はしないけれど、この原爆の図丸木美術館は、人生で一度は必ず訪れるべきところだ。一度訪れればまた来たくなるし、実際に体が移動しなくても、心が何度でも訪れることになる。

謹賀新年

2022年 6月 長崎

Ad Morningsの展示が年を跨いで開催されているので、一年の終わりはあまり区切り感がないものの、それでも大掃除をして、いつもより少し明るくなった家で明るい気持ちで元旦を迎えられた。

昨年はやりきれなかったことも多く、素材はたくさん溜まっているのに形にする一歩の力強さが足りない。それらのほとんどが今年の課題として持ち越されたと思っているが、気を抜けば、気化してなくなってしまうだろう。一方で、数年前だったらできなかったことを自分を壊さずできたことはよかった。あとは、車の運転がどんどん好きになっていることが何気に嬉しい。油断せずに、今年もいろんなところに行けたらいいなと思う。

今年もどうぞよろしくお願いします。


Ad Morningsの展示は1/4から1/7まで。今のTOKAS本郷の展覧会は3フロアそれぞれに面白いと思うので、短い会期ですがぜひお越しください。admornings.com

ともにつくること(おそらく①)

Ad Morningsの展覧会が無事始まりました。会期中14:00~、16:00~の毎日2 回、メンバーがその日の朝刊の記事をきっかけに、パフォーマンスや新聞の制作を通じた「生きた情報」の更新をしていきます。http://bit.ly/3WwV7PM

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まさか自分がコレクティブで活動するとは。何度我にかえっても足りない気持ちでいる。忘れていたけれど、大学一年生の時によくわからないなにかに導かれるようにオーケストラサークルにはいってコンサートマスターまでやって、4年の卒業の時には、自分は二度とこのように時間と心身を団体活動に捧げることはないだろうと思ったんだった。人と活動することは、特に束ねるような立場で思考しふるまうことは、つねに自分がそんなことできる人間かという思いが去来するし、自分の頑固さや甘さが身に沁みるし、常になにかしらのもどかしさがある。向いていないのだ。もちろん言うまでもなく、こつこつと頑張っていれば、そんなことはどうでもよくなる深くかけがえのない喜びの時間がある。両者の価値を正確に測れる天秤はどこにもないか、あっても壊れている。

Ad Mornings_Place of Living Information

12月22日(木)からトーキョーアーツアンドスペース本郷にて開催の展覧会、Ad Mornings「Place of Living Information」を開催いたします。

Ad Mornings(アド モーニングス)は新聞の制作・発行を軸として活動するアーティスト集団です。
2021年にはコロナ禍の生活や東京オリンピック・パラリンピック大会をテーマに据え、2022年前半には、城崎国際アートセンター(兵庫県豊岡市)のご協力のもと外国にルーツのある市民の方とのワークショップを実施するなど、活動を重ねてきました。

今回の展覧会では、17~18世紀に市民個人の民主的な精神や環境を育てた場所として発展したコーヒーハウスをはじめ、新聞の歴史に関わる場所を参照しながら、対話や情報の更新、流通、配布を通じた「生きた情報の場所」をつくりだします。

年末年始のご多忙な折と存じますが、レガシーイベントや外国人の入国制限、国葬など2022年の出来事についての記事や、それに関連したパフォーマンスの試みをご高覧いただけましたら幸いです。

※会期中は毎日アクティビティを実施し、「生きた情報」が日々更新されていきます。日々のスケジュールはウェブサイトhttps://admornings.comをご覧ください。

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OPEN SITE 7|TOKAS 推奨プログラム
Ad Mornings「Place of Living Information」

会期|2022年12月22日(木)~2023年1月7日(土)
会場|トーキョーアーツアンドスペース本郷(東京都文京区本郷2-4-16)
開館時間|11:00-19: 00(入場は閉館30分前まで)
休館日|月曜日(ただし1/9は開館)、2022/12/29 – 2023/1/3

入場料|無料
主催|公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
URL|https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2022/20221222-7134.html

Ad Mornings_Place of Living Information メンバー

Jang-Chi (オル太)
大和由佳 (アーティスト)
土本亜祐美 (アーティスト)
シェレンバウム・ゾエ(アーティスト)
ユニ・ホン・シャープ(アーティスト)
山科晃一(映像作家/小説家/映画監督)
ジョイス・ラム(編集者/映像作家)
宇佐美奈緒(アーティスト)

ポートレートムービー

フォトグラファーの廣瀬育子さんの新しいポートレート作品のために、私と夫の早川純一に声をかけていただいたのがちょうど一年前。自宅やアトリエ、近くの公園など自分たちの生活圏でのロケハンと撮影を経て、映像編集を私が担当しました。

同じシチュエーションで二人を撮影しながら、廣瀬さんが各々から受け取った印象に舵をとってもらい、大きく異なる仕上がりになりました。それぞれ1分ちょっとの2本のショートムービー、覗いてみてください。

http://ikuko-icicle.com/work/

『THIN LAYER THERE』
『CERTAIN FLUCTUATIONS』

ディレクション・撮影・ギター:廣瀬育子
編集:大和由佳

日帰り名古屋

名古屋のギャラリー HAMに行ってきた。時間がかかったけど、やっと個展で見せたいものをまとめ、話して、会期が来年二月に決まる。今回は会期中に近くの公園でささやかなパフォーマンスをしたく、いくつかピックアップしておいた公園もまわった。ギャラリーからは少し歩くものの、場所が圧倒的に生きていた今池西公園に決める。となりが大好きな書店であるちくさ正文館なのも一方的に心強い。なにか初めてのことで心細かったら、勝手な思い込みでも、小さな信頼やわずかな追い風を感じて積み重ねていくしかない。物と映像と行為と時代性の交差する場所としての展覧会が実現できたら、ずっと発表に向けて進めず悩んだ時間が報われると思う。

朝早く着いたその日は、豊田市美のリヒター展へ。絵画の場合、空間が良いとそれは透明化して、本当に絵画が成していることを見るのに集中できるのだとしみじみと知る。リヒターの作品の場合は、そこにもう一度空間を取り込むから、二重に空間が良いことが大事だった。ただ実物の前に立てば見えるとは限らず、それぞれの作品に適切な距離がある。リヒターは通常では見えにくいと感じる位置こそ見える位置なのかもしれない、などと身体をつかって探していくことは、展覧会でしかできないこと。そのうえで、今回ビルケナウの良さが他の作品ほどはわからなかったことが、自分に残る経験としてよかった。岐阜県美の前田青邨も見たくて、事前に乗り換えを調べていたものの、全然そんな時間はなかった、青邨…。